お塞神(さいじん)まつり

テーマ: 祭り・年中行事 地域: 村山地域寒河江市
<概要>
お塞神(さいしん)まつりは、神社(じんじゃ)の氏子衆(うじこしゅう)により守(まも)られており、塞(さい)の神(かみ)という女性(じょせい)の神様(かみさま)のお祭(まつ)りです。子孫(しそん)繁栄(はんえい)と火(ひ)の安全(あんぜん)を祈願(きがん)します。
観衆(かんしゅう)にまかれた御神体(ごしんたい)を得(え)られると福(ふく)を授(さず)かるとされ、人々(ひとびと)は投げ込まれた御神体(ごしんたい)競(きそ)って奪(うば)い合(あ)います。

<説明>
「お塞神まつり」ナレーションより

ここ、平塩地区は、寒河江市の南西部にあります。
杉木立に囲まれた、平塩熊野神社。720年前に建立されたと言われ、かつては出羽三山へのお参りの宿場町としてにぎわっていました。

お塞神(さいしん)まつりは、神社を守り続けている氏子衆らによりとり行われています。祭りの日は、朝早くに山から松の木を伐採してきます。虫食いやフシのないまっすぐとした木で、お祭りで奉納される御神体を作ります。

一人の氏子が彫る御神体は2体か4体。御神体は、対でひとつと数えるため彫りあげる数は偶数になります。氏子らは、一体一体を丁寧に彫り上げていきます。

“女性の神“とされる塞の神は、台所で火を扱う女性であることを意味し、”火の神様“とも言われています。塞の神は火の神様であるため、かつては村のはずれに祭られていました。
祭りの日は、村の人々がお参りに訪れ、甘酒をお供えしていきます。

家の門に、正月飾りの門松とゆずり葉がおかれ、あずき粥が供えられています。今では珍しくなりました。以前は、この門松の枝で御神体は彫られていたのだそうです。

神社から塞の神までの道のりを照らすお斎灯がともされると、いよいよ祭りの本番です。氏子らは、御神体を奉納するため、塞の神へと向かいます。

途中、“鳥追い“の掛け声をかけてあるきます。”鳥追い“の掛け声には、米を食い荒らす鳥を追い払い、豊作を願う、という意味があります。

塞の神の前には、御神体のご利益にあやかろうと300人ほどの観衆が集まっています。観衆がつめかける中、塞の神に御神体が奉納されます。

この御神体に触ると、子宝に恵まれ福が授かるといわれ、参拝者はご利益にあやかろうと触れていきます。
この後、御神体は観衆にむけてまかれ、激しい争奪戦がくり広げられます。
御神体がまかれるたびに、そちらこちらで争奪戦がくりひろげられます。

御神体に何人もがつかんで離しません。ここからは、最後の一人になるまで続けられ持久戦になります。

40分ほどの格闘の末ようやく決着がつきました。御神体は奪われないように、獲得した者はすぐに走り去ります。
御神体が宙を舞う度に、集落には歓声が上がっていました。

撮影年2002年
著作山形県
制作(財)山形県生涯学習文化財団
時間5分1秒

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