番楽(ばんがく)は青森(あおもり)、岩手(いわて)、秋田(あきた)、山形(やまがた)だけに伝(つた)わる芸能(げいのう)で、山岳(さんがく)信仰(しんこう)の修験者(しゅげんじゃ)によって始(はじ)められたと云(い)われています。
遊佐町(ゆざまち)に伝(つた)わる「杉沢(すぎさわ)比山(ひやま)番楽(ばんがく)」は今(いま)も村人(むらびと)に受(う)け継(つ)がれ、守 (まも)られています。芸術的(げいじゅつてき)評価(ひょうか)も高(たか)く、国(くに)の重要(じゅうよう)無形(むけい)文化財(ぶんかざい)に も指定(してい)されています。
<説明>
「杉沢比山番楽」ナレーションより
鳥海山を一望できる遊佐町の杉沢地区。杉沢地区に伝わる杉沢比山番楽は、鎌倉時代に鳥海山の山岳信仰から始まったと言われています。その舞う姿は、すっきりと洗練され、ユニークで美しい形、軽やかな舞ぶりが特徴です。
杉沢比山番楽は、熊野神社の境内(けいだい)に舞台を作り、毎年旧盆に行われています。
『おきな』は、長寿を祈る舞で、演目の最初に舞われるおめでたい舞です。『とり舞』は、『天岩戸(あまのいわと)』を開いた時に、鳥が夜明けを告げて舞った様子を演じたものと考えられています。
舞い方が複雑で、最も苦労してつくられた舞と言われています。以前に、酒田市の旧八幡町で行われた『全国野鳥保護の集い』でも披露されました。
『わらびおり』は、変わった物語の舞です。
親孝行な娘が、ワラビを食べたいという親のために山に入りました。
川を渡れずに困っていると、年老いた船頭が現れます、娘は“川を渡してくれたら、あなたの妻になります”と船頭に言うと、船頭は喜んで船を出します。
無事、川を渡り終えた娘は、ワラビを採りにその場を去ります。
そこに、木こりが現れ、船頭が“娘を見なかったか?”と聞くと、木こりは、“娘は、殿様のそばで優雅に暮らしている”と嘘を言います。
ショックを受けた船頭は、川に身を投げてしまいます。
そこへ何も知らない娘が戻ってきて、木こりにさらわれるというお話です。
『しょうじょう』は、顔は人に似て、体は犬のごとく、お酒が大好きという想像上の動物の舞です。刀をくわえて逆立ちするなど、曲芸的な舞を披露します。
「地元の期待を裏切りたくない・・」「みんなで力を合わせて協力してきたい。」
戦中戦後は、一時、存続の危機に瀕しましたが、村人の手によって守られ、現在では村の誇りとして受け継がれています。
撮影年 | 2001年 |
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著作 | 山形県 |
制作 | (財)山形県生涯学習文化財団 |
時間 | 4分46秒 |
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